Blog:医療人文学/ONHP 報告 #002 (240106)

1月1日の午前中に、英国に向けて出発しました。機内で、前列の乗客が online でコンピュータに接続し日本のニュースを見ており、災害の画像が写っていました。しかし、自分で地震のニュースが確認できたのは、ロンドン到着後(日本の日付が変わってから)でした。地元のニュースでもトップで取り上げていました。プログラム参加者予定者と事前の連絡では、私は、身は英国にいるけれど、心の半分は日本にいる、と表現しています。とはいえ、直接何もできないことをもどかしく思っています。こちらの人たちに、状況を伝え続けるという役割を担いたいと思います。2日もトップニュースは、羽田の事故でした。被災地に向かう飛行機の事故であった事が、なおさら心を痛めます。こちらの人には、旅客機の乗客乗員全員が脱出できた事が信じられない、と言われます。亡くなられた方、行方不明の方、被災された方、被害に遭われた方、その他ご関係の方々のためにお祈りいたします。

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プログラムの正式名称は、#000に記したように、Oxford Next Horizons Programme。E.H.Erikson の語る generativity を、次の世代にとって意味のある形で実現するため、上の世代を教育するための academic プログラム、と理解している。じじばばの自己実現のためのプログラムではない。ブログのタイトルにもONHPと入れることとする。テーマは 3つ:

  • 人生の Third Quarter にある参加者が、この時期をどのように過ごしFourth Quarter に備えるかについて、期間全体を通して共に考える。(グループワーク)
  • 自分がこれまで身につけてきたことを、現在の学問レベルで検証し、若手研究者たちとの議論を通してアップデートする。(チュートリアル)
  • 現代のグローバルな課題について、最先端の知識を身につける。(レクチャー)

1番目・3番目については、まだ未知。ただこの数日間で、チューターからの連絡が既に何件もあり、2番目が大変な事がわかってきた。オックスフォード教育の中核であるチュートリアル。毎週5〜6本の論文を読んで、2000字程度のエッセイを書いて事前に送り、チューターと1対1でディスカッション。この教育スタイル自体は20代前半に経験しているのだが、以前との違いは、今回のチュータの多くがその具体的テーマを専門に研究している若手・中堅の研究者だということ。指定される論文も最新のもの。こちらに向けて「その経験を持ったあなたが、これから私たちとどのように一緒に研究してくれますか。」と挑戦を受けている感覚。年寄り扱いはしてくれず、茶飲み話にはならない。彼女ら・彼らと、〈今・ここ〉で豊かな研究仲間になって行けるかが問われている。

このプログラムは、Harris Manchester CollegeとRhodes 財団とが主催している。このカレッジは、21歳以上の学生しか在籍できない大人のコミュニティ。財団は、主にコモンウェルス諸国と米国からOxford に奨学生を招き、生涯にわたり交流を支える事が目的。Rhodes House を運営する。ONHPにおいては、どちらの組織でも現役学生との交流の場が多くあり、その意味でもリアルな Genrativity 実践の機会もちゃんと組み込まれている。

来週から大学のさまざまな活動がはじまる。

以下、毎回のお願い:バックグラウンド・リサーチが不十分なものも掲載します。限られた体験に基づく主観的な記述が中心となります。引用等はお控えください。また、このブログ記事は、学びの途上の記録であり、それぞれのテーマについて伊藤の最終的な見解でないこともご理解ください。

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