Blog:医療人文学/ONHP 報告 #007 (240121)

週末は近郊の Ditchley Park 〈https://www.ditchley.com/ditchley-park〉での2泊3日の retreat。現代の国際政治におけるこの会場役割については、新しくは細谷雄一氏によるもの〈https://note.com/yuichihosoya/n/n06a55b9d0020〉、古くは伊東俊太郎氏によるもの〈https://www.gakushikai.or.jp/magazine/article/archives/archives_752_3/〉などがある。それらを振り返る時、Oxford大学がこの ONHP にかける期待の程が窺える。

私がこの会場で心を惹かれたのは、一つは歴史。特に、この館の壁の至る所に掛けられている肖像画の数々。その一つ一つに、イギリスの歴史がある。この館に到着すると2時間のオリエンテーションがある。絵とその背景にある歴史が丁寧に語られる。最も興味深かったのは Ditchley Portrait (1592)と呼ばれるエリザベスⅠ世の最も有名な肖像画。1932年まで、この館にあったその絵は、今はNational Portrait Gallary に展示されている。ここにはその精密な模写が残されている。女王がこの地に Sir Henry Lee を訪問した際に描かれたと言われ、 女王とLeeとの確執と和解の物語が、今も語られている。

写真を載せることができることに気がついた。

もう一つ心を惹かれたのは館の執事 Butler。ノーベル文学賞を受賞したSir Kazuo Ishiguro の小説 The Remains of the Day 『日の名残り』を彷彿とさせる(映画のアンソニー・ホプキンスとは異なり、しばしば笑みを浮かべる)彼の立ち振る舞いは、目立たないが、食堂の雰囲気を引き締める。冒頭に紹介した記事にあるディッチリー国際会議(1972年の沖縄返還のきっかけもこの会議と言われる)などをホストする側の質が問われるのは当然。後で調べてみると、この館は、Ditchley Butler-Valet School という養成学校でもあることがわかった。まさに本物に出会った感じ。

この retreat では、ONHP の参加者同士の情報の守秘が合意された。したがって、今後は参加者個人についての言及はない予定である。研究上の一人一人の意見や立場を紹介することも控える。安心な場で、自由に意見を交わしながら、この6ヶ月を過ごすことになる。ただ、はっきりしているのは、本当に様々な利害を背負い、豊かな個人史によって形作られ、visionを持つ者が集まっている。互いを尊重しながら、チャレンジングな時間を期待する。

Retreat でのエクササイズの一つに、Oxford Bach Choirを招き、参加者が指揮をしてみる経験があった。教会音楽との関わりを回復することを一つの目標としている私としては、彼らを指揮した3分間の経験は忘れ難い。大学に戻り、夕方 3時30分より Christers of New College Oxfordによる Benjamin Britten の A Ceremony of Carolsを聴きに行った。

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